食器選びについて
特定教育・保育施設等における毎日の給食や調理室の役割
乳幼児期は、「食を営む力」の基礎をつくり、「生きる力」につなげるための大切な時期
乳幼児期の食事はこどもの心身の成長・発達に影響することに加え、食の体験を通して後の食習慣にも影響を与えます。発育・発達に個人差が見られるので、一人ひとりの発育・発達状況、栄養状況などを踏まえ、その状態に応じた内容とする配慮も必要です。
また、施設の給食は「おいしい・たのしい」だけではなく、「栄養バランス」がとれており、適切な衛生管理の実施や誤嚥防止対策を含めた「安全性」が確保されたものが求められます。
保育所はこどもたちにとって1日の生活時間の大半を過ごす場所であり、保育所における給食は非常に重要です。
保育所で提供される給食は、こどもたちの発育・発達に応じた適切な栄養量を摂取するための配慮、食事の場が親しみとくつろぎの場となるような環境面への配慮、さらに様々な人と一緒に食事をしたり、作ったりすることで、人と関わる力を育むよう教育的配慮を行うことが大切です。
大阪市こども青少年局【特定教育・保育施設等における「食」のマニュアル】より
保育園で使用する食器の選択基準は?
食器は消耗品です。買い替えが必要になった場合、食育の一環としてどう取り組んでいくか、検討していただく良い機会になればと思います。
食器を選ぶとき、一番大切にしたいものは何でしょう。いろいろな視点から見た場合、次のようなポイントが考えられます。
■安全な食器、配慮が必要な場合は?
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- 壊れにくい
- 誤飲、誤嚥(ごえん)防止対応
- カラーバリエーション
- 素材の感触
■長持ちする食器は?
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- キズがつきにくい
- 欠けや剥げ落ちしにくい
■衛生や使用で管理しやすい食器は?
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- 重ねやすい形状
- 水切れがよい
- 耐熱温度に優れている
- 漂白剤の使用ができる
■こどもと食器の関係は?
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- 事故防止の優先
- 物を大切にする心
- マナーを身につける
「食器は割れるものだ」と分かれば「大切に扱おう」と思い、物を大切に扱うマナーを重視すればそういった素材の食器を選ぶでしょう。「割れたら危ない」という安全性を重視すれば、割れにくい素材の食器を選ぶことになり、選択は反対のものになってしまいます。
材質による食器の種類をご紹介
★本格的な器の扱い方を身につけるなら…
強化磁器
厳選された陶土に、アルミナ(ルビーやサファイアと同じ組成を持つ物質)の超微粒子を1~3割配合し、1300℃前後の温度で焼成された磁器です。一般の陶磁器に比べ3~4倍の強度があります。表面は汚れやキズがつきにくいガラス質の被膜でカバーされ長期間美しくご使用いただけます。熱や酸などにより有害物質が溶け出す心配もありません。
★高品質、高い耐久性が特長
PEN樹脂(E-エポカル)
安全で着色しない、幼児給食に最適な食器です。傷が付きにくく、残菜が残りにくいのが特長です。絵柄は、二重成形(二層構造)の樹脂と樹脂の間に印刷するサンドイッチ構造になっています。そのため、絵柄のはがれや脱色がなく美しさを長く保ちます。
★耐熱性に優れ、軽量で汚れも落ちやすい
超耐熱ABS樹脂
超耐熱ABS樹脂は樹脂の中で最高の耐熱性能を持つ素材です。軽量なうえ汚れが落ちやすく、食器洗浄機はもちろん熱風消毒保管庫の使用も可能です。食品衛生法による溶出試験に合格し、環境ホルモン問題もクリアしています。これに特殊ポリウレタン塗り加工+高温焼付けを施したものを「超耐熱ABS漆器」と呼びます。
★軽くて丈夫、熱にも強い安定素材
メラミン樹脂
60年を超える製造の歴史を持つ安定した素材です。熱に強く軽くて丈夫、形を自由に造形でき色や柄も自由に付けることが出来ます。また、熱伝導が低いので料理が冷めにくく、熱いものを入れても手や唇に熱さを感じさせません。プラスチックの中でもっとも表面硬度が高く傷が付きにくいのも、この素材の魅力のひとつです。
※塩素系の漂白剤はご使用いただけません。
★安価で丈夫な素材
PP樹脂(ポリプロピレン)
汎用性が高く安価で、食器の場合は他の素材と比較して破損しにくいのが特長です。また、耐熱性に優れ、過酷な消毒保管庫にも耐えることができます。最近は用途に合わせて比重を調節し、水にも沈む高比重ポリプロピレンも一般的になりました。
経済的で強靭な反面、表面は柔らかいため傷がつきやすく食品中の一部色素などが移行しやすいといった欠点もあります。
2024年4月 更新